身近に行った経験ない方にとって、お焼香はどうやればよいかわからないものです。正式な作法はありますが、「正式」とよばれる作法は宗派の数だけ、つまり沢山あるのです。そこで大切なことについて触れておきたいと思います。
私は、作法の次第は少々間違えても、たいしたことはないと考えていますし、それよりは、お香のはなし①に書いた、気持ちの部分が大切なされるべきと思うからです。
しかし、もしもご縁があって事前に練習するのであれば、やはりご自身の宗旨の作法を身につけるべきです。「正式な作法を知っているよ」という方で、他の宗旨の作法を学ばれた方がけっこう多いです。せっかくなのにとても残念だとお思います。
この頁の画像にあるものは、浄土真宗本願寺派の安芸教区で発刊された『仏事あれこれ正百科』でイラストによって解説されている浄土真宗本願寺派の正式なお焼香作法です。
本願寺派の作法は、シンプルです。
①阿弥陀様に向かい一礼する。
②ひとつまみお香をつまむ。
③そのまま香炉の中の火のついた炭の上にくべる。
(額におし頂かない。1回)
④合掌、念仏(声に称える)、礼拝(合掌したまま状態を45度前に傾けて礼をする)
⑤(一歩下がって)一礼。自席へ退く
気をつけるポイントとしては、
*①で合掌する方がよくいらっしゃいますが、①では礼だけで。
*②③で、額にうやうやしくお香をおし戴く方がいますが、それは他宗派の作法です。
またお香をくべる回数は1回だけです。
*④合掌したあと、「なもあみだぶつ」「なまんだぁぶ」「なんまんだぶ」等々いろいろと
称え方はあるのですが、称えやすいのでかまいませんので、声にお念仏を称えます。
*④礼拝するときは、手を合わせたまま礼拝します。最近、合掌をほどいて手を離し、
気をつけ礼をして、礼拝する方が多い傾向があります。
などです。
他宗派では、作法を間違えると故人に対してとんでもなく失礼なことだと仰る方も見かけるのですが、ただ、私自身は、作法を少々間違えてもたいしたことないと思っています。それよりは次の2つを大切にして頂きたいです。
まず一つ目は、心の部分です。
それは、お香のはなし①でも触れている、その仏事に際して大切な方への思い、心の部分です。前の方の真似するのが、焼香のようになってしまっていては、これほど寂しいことはありません。大切な方を感じながら「この人あったからこそいまの人生の歩みがあるのだなー」と仏さまに御礼をさせて頂く。これはとてもすてきな作法じゃありませんか。まずは心の部分大切にしていきましょう。
二つ目は、称名念仏。これは声にお念仏を称えることです。
称名念仏は心で思うことではありません。心で称えたと仰る方がいます。そう言えばそれ以上突っ込む人はあまりないでしょう。しかし他人に言い訳をするためではないのです。阿弥陀様と私がであっている大切な現場が、念仏響く今ココです。
口で称えるより、心で思う方が簡単と思っている方が多いです。しかし本当は反対です。仏さまを敬う心があっても、次の瞬間にいろんな事を考えてしまう。。。それが得体の知れない心の正体。以前、お念仏を心で称えましたと仰った方が、「南無阿弥陀仏」ってどう読めばいいですか?と、あとから質問されました。モヤモヤしながら説明だけしたのですが。。。後から冷静に考察すると、実際は心でも称えられてなかったんですね?!と突っ込みたくなりました。お経には阿弥陀様の思い方が具体的に記されています。しかし実践したくても出来ないような難しいものばかり。心で思う方がよっぽど難しいのです。そんなちっとも心の整わない私の上に、お念仏が届いてくださっています。
阿弥陀様は、貴方を救える仏となったときには、「南無阿弥陀仏」に途方もない功徳を込め、救いを知らせ、救いを届けるとお誓いくださった。その誓いを完成して仏となられた私達の阿弥陀様でした。心は整ったほうが、良いにこしたとはないないでしょう。しかしたとえ整わなくても、阿弥陀様の方が私の上に「必ず貴方を救い遂げる」と響いてくださいます。
心でとなえたら、阿弥陀様はいるような、いないような曖昧な感じじゃないですか。でも、声に称えたところには、私の上に、今確かにココで響いてくださいます。阿弥陀様が確かにご一緒くださっている。今ココがその現場です。そして先立たれて大切な方々も、お念仏の功徳を受け取らせようとする阿弥陀様のお手伝いをしてくださっていることになってます。
先立たれた方があったとき、どこに行ったのかと探される方多いです。五年でも十年でも三十年でも五十年でも。。。そういう方に沢山お会いしました。関係性の遠い方なら、無になったとか、物質に帰ったとかと思えるでしょう。しかし大切な方であればあるほど、どこまでも探し続けてしまう。でも僕らは探すのではありません。阿弥陀様と一緒になって、今も、そしてこれからも、私と共にこの人生を歩んで下さっている。それををお念仏の中にあじわってきたのが、浄土真宗の信仰生活だと思います。
そうしたお味わいは、やはり、お念仏響いているから広がる、感じられる世界です。
お焼香の際は、心の部分、そして称名念仏、大切にしましょう!!
*イラストは「仏事あれこれ小百科」、2000年6月安芸教区基幹運動推進委員会発刊より。
浄土真宗本願寺派の焼香の作法です。西本願寺の作法はシンプルです。お香はおしいただかすず、1回です。「なもあみだぶつ」と声に称えます。
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